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電子部品の封止、ポッティング、接着工程において、エポキシ樹脂は極めて高い信頼性を誇る素材です。しかし、その性能を最大限に引き出すためには、「主剤と硬化剤の高精度な均一混合」と「微細気泡(ボイド)の徹底的な除去」という2つの高いハードルを越えなければなりません。
特に近年の電子デバイスの小型化・高密度化に伴い、わずか数ミクロンの気泡が絶縁破壊やヒートサイクル時のクラック起点となるリスクが高まっています。本記事では、エポキシ樹脂特有の物理的性質に基づいた撹拌の最適化について深く考察します。
エポキシ樹脂の撹拌で空気が混入し、それが残留するプロセスには明確なメカニズムが存在します。
エポキシ樹脂の多くは高粘度であり、撹拌羽根(プロペラ等)を高速回転させると、羽根の背後に瞬間的な低圧部が生じます。ここに周囲の空気が吸い込まれる「キャビテーション」に近い現象や、液面の巻き込みが発生します。一度取り込まれた空気は、樹脂の粘性抵抗によって浮力が相殺され、液中に留まり続けます。
多くのエポキシ系材料では、主剤(高粘度)と硬化剤(低粘度)で粘度が大きく異なります。このため、単純な撹拌では低粘度な硬化剤が高粘度な主剤の周囲を滑ってしまい、界面での分子拡散が阻害されます。この未反応領域が「混ざりムラ」となり、後の硬化不良や物性低下を招く原因となります。
フィラー(充填剤)が配合された樹脂の場合、静止時に粘度が高まるチキソ性(触変性)を持つことがあります。撹拌を止めた瞬間に液体の構造粘性が回復し、浮上途中の微細な気泡が「型崩れしないゲル」の中に閉じ込められるようにトラップされてしまうのです。
気泡を極限まで抑えて混ぜるためには、単なる「かき混ぜ」ではなく、流体力学的なアプローチが必要です。
高粘度流体において乱流を起こそうとすると、過剰なエネルギーが熱に変換され、樹脂のポットライフ(可使時間)を縮めてしまいます。低速でも強力な「せん断(せんだん)力」を加えられる設計が重要です。材料を「引き延ばしては重ねる」というラミナー混合を繰り返すことで、気泡を抱き込むことなく、主剤と硬化剤の分子を接触させることが可能になります。
手作業や羽根式撹拌の限界を打破する技術として、現在、電子部品業界で主流となっているのが「公転・自転方式(非接触撹拌)」です。
容器全体を高速公転させることで、強力な遠心力が生じます。この力により、液中の気泡は比重差によって液面へと押し出されます。真空引きを併用することで、液面に浮上した気泡を効率的に破泡・除去できるため、極めて高度なボイドレス化が実現します。
公転と同時に容器自体を自転させることで、強力な渦状の対流を発生させます。
もし最適な装置を使用しても気泡が残る場合は、以下のチェックポイントを確認してください。
エポキシ樹脂の撹拌は、経験や勘に頼る手法から、回転数、時間、真空度といった「数値管理」へと移行しています。気泡を極限まで抑え、硬化不良を徹底して防ぐことは、単なる不良率低減だけでなく、製品の長期的な信頼性(ブランド価値)を守ることに直結します。
貴社の材料特性に合わせた最適な撹拌パラメータの算出や、デモ機による検証をご希望の場合は、専門の技術スタッフまでお気軽にお問い合わせください。
エポキシ樹脂の処理では、主剤と硬化剤を均一に混ぜることに加え、撹拌時に入り込む気泡を取り除くことが重要です。特に、粘度の高い材料やフィラーを含む配合物では、混合ムラや気泡が残りやすくなります。
ハイ・ローターシリーズは、 自転・公転による撹拌と、遠心力を利用した脱泡を同時に行える 自公転式撹拌脱泡ミキサーです。プロペラを使わず、容器内の材料を撹拌することで、エポキシ系接着剤や塗工スラリーなど、材料の性質に合わせた撹拌・脱泡を検討できます。
回転数や自転・公転比率を調整できる機種では、材料にかかるせん断力や分散状態を確認しながら、適した処理条件を設定できます。
ハイ・ローターシリーズは、 300mL程度の少量処理から、20L容器を4基搭載する大容量処理まで、 処理量に応じた機種を展開しています。研究・開発段階での少量試験から、中容量の試作、大容量の生産工程まで、スケールに合わせた機種選定が可能です。
また、エポキシ樹脂は撹拌時の発熱によって硬化反応が進み、ポットライフが短くなる場合があります。 冷却仕様や処理中の温度測定 を組み合わせることで、温度上昇を抑えながら撹拌・脱泡する方法も検討できます。
脱泡後のシリンジ充填や、使用する容器・後工程に合わせた仕様についてもご相談いただけます。材料の種類、粘度、配合、処理量などをもとに、適した装置をご提案します。
※冷却機能、温度測定、自転・公転比率の可変機能などは、機種や仕様によって異なります。
撹拌脱泡機を使用する製造現場や研究・開発の現場では、「量産が難しい」「処理に時間がかかる」「高粘度素材がうまく混ざらない」など、さまざまな課題が生じていることと思います。
当メディアでは、そうした課題解決に貢献する三星工業の「ハイ・ローターシリーズ」の特長と価値を、より多くの方に知っていただくことを目的としています。研究・開発現場の効率化とさらなる技術発展に寄与できれば幸いです。