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撹拌機の異物混入・コンタミ対策

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医薬品や化粧品の製造では、成分を均一に混ぜることだけでなく、製造工程で異物や他製品の成分を混入させないための管理が欠かせません。特に薬液やクリーム剤、ゲル、ペースト状の材料などを扱う撹拌工程は、材料が製造設備や周囲の環境と接する機会が生じるため、コンタミネーションのリスクを考慮する必要があります。

作業環境の清浄度を高めたり、設備を十分に洗浄したりすることは基本的な対策ですが、それだけでなく「そもそも材料が外部環境や設備部品と接触しにくい工程をつくる」という視点も重要です。本記事では、医薬品・化粧品製造における撹拌工程のコンタミリスクと、密閉可能な容器や羽根レス構造を活用してクリーンな撹拌環境を構築する考え方について解説します。

医薬品・化粧品製造で撹拌工程のコンタミ防止が重要な理由

医薬品や化粧品は、人の身体に使用される製品だからこそ、原料の配合だけでなく製造工程全体を通じた品質管理が求められます。撹拌工程で意図しない異物や別製品の成分などが混入すると、外観や物性の変化だけでなく、製品品質そのものに影響を与える可能性があります。

医薬品では交叉汚染を防ぐための管理が求められる

医薬品の製造管理・品質管理について定めるGMP省令では、医薬品に係る製品の交叉汚染を防止するために必要な措置を講じることが求められています。また、製造設備についても、用途に応じて適切な清掃や保守を行うことが定められています。

厚生労働省によるGMP省令の解説では、密閉容器に納められた製品等について「交叉汚染し難い状態」にあるとの考え方も示されています。撹拌設備だけで品質を保証できるわけではありませんが、材料をできるだけ外部環境へ開放しない工程設計は、コンタミリスクを考えるうえで重要なポイントです。

化粧品でも製造設備を含めた衛生管理が重要

化粧品についても、製品の品質と安全性を維持するためには、原料や作業者だけでなく製造設備を含めた衛生管理が重要です。日本化粧品工業会では、化粧品GMPとして国際規格であるISO 22716を採用し、遵守を推奨しています。

クリームやジェル、乳液などを製造する工程では、撹拌設備が材料と直接関わります。そのため、作業室を清潔に保つだけではなく、撹拌時に材料が何と接触するのか、どのような部品が材料の近くで動作しているのかまで確認することが、安定した品質管理につながります。

撹拌工程ではどこからコンタミが発生するのか

撹拌工程のコンタミ対策を検討する際には、「設備を洗浄する」という対応だけでなく、まずどこに混入経路が存在するのかを整理する必要があります。特に注意したいのが、外部環境からの混入、設備部品に由来する異物、前バッチからの持ち込みです。

容器を開放することで外部環境と接触する

材料を投入した容器を開放した状態で撹拌する場合、撹拌中の材料は周囲の環境と接することになります。クリーンルームや空調設備によって環境を管理していても、容器を開放する工程があれば、浮遊するほこりや微粒子などが材料へ到達する機会を完全になくすことはできません。

そこで考えたいのが、材料を容器に入れた後、できるだけ容器を開けずに処理するという工程設計です。材料や工程条件に合った密閉可能な容器を使用できれば、撹拌中に材料が外部環境と接触する範囲を限定しやすくなります。

撹拌軸やシール部も異物混入の要因になり得る

一般的な羽根式撹拌機では、撹拌軸を介してモーターの回転を容器内部の羽根へ伝えます。その構造によっては、軸の回転部分にシール機構などが設けられており、使用条件や部品の状態によっては摩耗や劣化への管理が必要になります。

摩耗する部品が材料の近くに存在する場合、品質管理では部品の点検や交換時期まで含めて考えなければなりません。撹拌性能だけを見るのではなく、材料の周囲に摺動する部品があるか、その部品が異物の発生源になり得ないかという視点から設備構造を確認することも重要です。

前バッチの残留物が次の製品へ持ち込まれることもある

同じ撹拌設備で複数の製品を製造する場合には、前バッチで使用した材料の残留にも注意が必要です。撹拌羽根や軸、固定部などに付着した材料が十分に除去されないまま次の製品を処理すると、前バッチの成分が次バッチへ持ち込まれる可能性があります。

もちろん、適切な洗浄や確認を行うことが基本ですが、複雑な接液部が多いほど洗浄・確認する場所も増えます。コンタミ防止を考えるのであれば、洗浄方法だけでなく「材料に触れる設備部品そのものを減らせないか」という視点も有効です。

クリーンな撹拌環境を構築するための設備設計

コンタミ対策というと、クリーンルームの導入や作業者の服装、設備の洗浄などが注目されがちです。しかし、撹拌工程に限れば、材料と周囲の環境・設備との接点を減らすことも重要な対策になります。

材料をできるだけ外部環境から遮断する

薬液やクリーム剤などを容器に投入した後、密閉可能な状態で撹拌できれば、撹拌中に材料を外部環境へさらす時間を抑えやすくなります。特に、撹拌後に別の容器へ移し替えて脱泡するといった工程では、そのたびに容器を開放したり器具を使用したりするため、材料が周囲と接触する機会が増えてしまいます。

設備を選ぶ際には、単に「よく混ざるか」だけではなく、材料を入れた容器のままどこまで工程を完結できるかを確認することが、クリーンな製造環境をつくるうえで重要です。

材料に接触する部品をできるだけ少なくする

撹拌羽根、軸、固定具、槽など、材料に触れる設備部品が増えれば、それだけ洗浄や点検の対象も増えます。また、複雑な形状や狭い隙間がある部品では、材料が残留していないか確認する作業にも負担がかかります。

そのため、衛生管理を強化する方法として、洗浄条件を厳しくするだけでなく、接液部をできるだけ容器側へ集約するという考え方があります。専用容器や使い捨て容器を活用できる工程であれば、製品ごとに容器を切り替えることで、設備側に残る材料を減らしやすくなります。

羽根レスの自転公転式撹拌脱泡機がコンタミ対策に向く理由

材料と撹拌設備の接触を減らす方法の一つが、撹拌羽根を使用しない自転公転式の撹拌脱泡機です。一般的な羽根式撹拌機が容器内部へ羽根を挿入して材料をかき混ぜるのに対し、自転公転式では材料を入れた容器を自転・公転させ、その運動によって材料を撹拌・分散します。

材料中へ撹拌軸や羽根を挿入する必要がない

羽根レス構造では、材料の中へ撹拌羽根や撹拌軸を挿入しません。そのため、一般的な軸式撹拌機で管理対象となり得る、材料内部の撹拌羽根や軸、それに付随する軸シールなどを材料の接触部として持たない点が特徴です。

つまり、材料中に挿入された撹拌軸のシール部などから摩耗物が入り込む経路そのものをなくすことができます。医薬品や化粧品のように異物混入を可能な限り避けたい製造工程では、設備由来のコンタミリスクを減らすための選択肢になります。

容器を中心にした撹拌工程を構築しやすい

自転公転式撹拌脱泡機では、材料を入れた容器そのものを利用して処理します。三星工業の「ハイ・ローターシリーズ」は、市販のPE容器や耐熱PP容器に加え、シリンジ、カートリッジ、ディスポカップ、ステンレス容器などにも対応でき、条件に応じて指定容器へのカスタマイズも可能です。

製品や用途ごとに適した容器を選択できれば、撹拌設備本体へ材料を直接投入する方式に比べて、材料が接触する範囲を容器内部へ集約しやすくなります。密閉可能な容器を採用できる工程であれば、外部環境との接触を抑えながら処理することも検討できます。

撹拌と脱泡を一連の工程で行える

薬液やクリーム剤などでは、材料を均一に混合するだけでなく、撹拌時に入り込んだ気泡を除去する脱泡工程が必要になることがあります。撹拌と脱泡を別々の設備で行う場合には、材料を移し替える工程が増え、その際に容器を開放したり別の器具と接触したりすることがあります。

自転公転式の撹拌脱泡機で撹拌と脱泡を一連の工程として行えれば、材料の移し替えや容器の開閉を減らし、工程全体で材料が外部と接触する機会を抑えやすくなります。コンタミ対策では、撹拌機単体を見るのではなく、前後の工程を含めて接触機会を減らすことが重要です。

医薬品・化粧品向けの撹拌設備を選ぶ際のポイント

衛生性を重視する設備であっても、対象となる材料を適切に撹拌できなければ製造設備として十分とはいえません。設備選定時には、材料の粘度や比重、処理量、分散性、必要な脱泡性能などを確認したうえで、衛生管理との両立を考える必要があります。

容器や接液部まで含めて確認する

「密閉式」「シールレス」「羽根レス」といった言葉だけで判断するのではなく、実際の工程で材料がどの部位と接触するのかを確認することが大切です。使用する容器の材質や形状、蓋の構造、品種切り替え時の運用方法まで含めて検討することで、自社の品質管理基準に合わせた工程を設計しやすくなります。

また、クリーンルーム内で使用する場合には、設備そのものが使用環境に対応できるかも確認が必要です。三星工業のハイ・ローターシリーズでは、指定容器だけでなくクリーンルーム仕様へのカスタマイズにも対応しています。

実際の材料を使って処理状態を確認する

自転公転式の撹拌脱泡機が適しているかどうかは、材料の特性によって異なります。クリーム剤、高粘度ゲル、薬液、粉体を含む材料などでは、それぞれ最適な回転条件や処理時間が異なるためです。

導入を検討する際には、実際に使用する材料でテストを行い、撹拌後の均一性や気泡の残り方、処理時間、温度変化などを確認することが重要です。衛生面だけでなく、求める製品品質を安定して再現できるかまで確認したうえで設備を選定しましょう。

まとめ

医薬品や化粧品製造におけるコンタミ防止では、作業環境の清浄化や設備の洗浄だけでなく、コンタミが発生しにくい設備・工程そのものを設計するという視点が重要です。材料を外部環境へ開放する機会を減らし、接液する設備部品や移し替え工程を少なくすることで、管理すべきコンタミ経路を減らしやすくなります。

特に羽根レスの自転公転式撹拌脱泡機は、材料中へ撹拌羽根や軸を挿入せず、容器を利用して撹拌・脱泡を行えることが特徴です。軸シールなど設備部品に由来する材料内への異物混入経路を減らせるほか、使用する容器や工程設計によっては、外部環境との接触や品種切り替え時のクロスコンタミネーション対策にもつなげられます。

ただし、コンタミ防止は撹拌設備だけで完結するものではありません。作業環境、原料管理、清掃手順、容器、作業者の衛生管理などと組み合わせながら、製造工程全体でリスクを抑えることが重要です。撹拌設備を選定する際も、処理能力だけでなく「材料をどれだけクリーンな状態で扱い続けられるか」という視点から比較してみてください。

当メディアについて

撹拌脱泡機を使用する製造現場や研究・開発の現場では、「量産が難しい」「処理に時間がかかる」「高粘度素材がうまく混ざらない」など、さまざまな課題が生じていることと思います。
当メディアでは、そうした課題解決に貢献する三星工業の「ハイ・ローターシリーズ」の特長と価値を、より多くの方に知っていただくことを目的としています。研究・開発現場の効率化とさらなる技術発展に寄与できれば幸いです。