撹拌脱泡機 特集メディア:撹拌脱泡Journal

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シリンジ充填機とは?

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接着剤、はんだペースト、放熱グリース、封止材、シーラントなどをシリンジから安定して吐出するには、シリンジ内へ材料を均一に充填し、気泡をできるだけ残さないことが重要です。充填量が一定でも内部に気泡があれば、吐出切れ、液だれ、重量ばらつきなどが発生する可能性があります。

こうした課題に対応する設備として、シリンジ充填機とシリンジ遠心脱泡機があります。ただし、両者は同じ装置ではなく、主な役割や導入する工程が異なります。本記事では、それぞれの特徴と違い、材料や生産条件に合った装置の選び方を解説します。

シリンジ充填機と遠心脱泡機の基礎知識

装置を選定する前に、どの工程で気泡や充填ばらつきが発生しているかを確認します。材料調製時、移し替え時、充填時、充填後では、適切な対策が異なるためです。

シリンジ充填機の役割

シリンジ充填機は、調製済みの材料を塗布用シリンジやバレルへ移し替えるための装置です。手作業で材料を詰める方法と比べ、充填量、充填速度、材料への圧力などを管理しやすく、作業者によるばらつきを抑える目的で使用されます。

特に高粘度材料は自然に流れ込みにくいため、加圧、ピストン、テーブル昇降などの機構を利用して充填します。設備によっては、撹拌・脱泡に使用した容器からシリンジへ直接充填し、材料の移し替え回数を減らせるものもあります。

シリンジ遠心脱泡機の役割

シリンジ遠心脱泡機は、材料を入れたシリンジを回転させ、遠心力を利用して内部の気泡を移動・除去するための装置です。充填後に残った微細な気泡や、シリンジの内壁付近に付着した気泡への対策として利用されます。

遠心処理では、材料がシリンジ先端側へ押し付けられるため、空隙をまとめながら材料を緻密に充填できる場合があります。ただし、材料の粘度や比重、チクソ性、硬化性によって適切な回転数や時間は異なり、過度な処理は分離や温度上昇を招く可能性があります。

充填機と遠心脱泡機の違い

充填機の主目的は、別の容器にある材料をシリンジへ定量的かつ安定的に移すことです。一方、遠心脱泡機の主目的は、シリンジ内にある材料の気泡を減らし、内部状態を整えることです。したがって、基本的には代替関係ではありません。

材料調製時の脱泡、シリンジへの充填、充填後の遠心脱泡を組み合わせることも可能です。ただし、工程を増やすほど常に品質が向上するわけではありません。気泡が入りにくい充填方法を確立できれば、充填後の脱泡時間を短縮できる可能性があります。

シリンジ充填で気泡やばらつきが生じる原因

気泡対策では、脱泡性能だけに注目せず、気泡が混入する場所を特定します。前工程で十分に脱泡できていても、移し替えや充填の方法によって再び空気を巻き込むことがあります。

材料の撹拌時に空気を巻き込んでいる

複数の材料を撹拌すると、流れによって空気が材料中へ取り込まれます。高粘度材料では、取り込まれた気泡が浮上しにくく、そのままシリンジへ移ることがあります。粉体を配合する材料では、粉体の隙間に含まれる空気にも注意が必要です。

撹拌条件を決める際は、均一化と脱泡を分けて考えます。撹拌に必要な流動を確保しつつ、その後に減圧や自転・公転運動などで気泡を除去します。材料の硬化時間が短い場合は、撹拌、脱泡、充填を完了できる作業可能時間も確認します。

移し替えや手詰めで空気が入っている

ヘラなどを使ってシリンジへ少量ずつ詰めると、材料と材料の間に空気の層が残りやすくなります。シリンジの奥まで材料が届かないまま追加すると、内部に大きな空隙が形成され、吐出時の途切れにつながることがあります。

また、脱泡済み材料を別容器へ何度も移し替えると、その都度空気を巻き込む可能性があります。脱泡後の材料をできるだけ短い経路でシリンジへ充填することが、気泡の再混入と材料ロスを抑える基本です。

材料の粘度と充填条件が合っていない

低粘度材料は流れやすい一方、充填速度が速すぎると乱流や飛散によって空気を巻き込むことがあります。高粘度材料は気泡が抜けにくく、充填圧力が不足するとシリンジ内部に空隙を残したまま充填が止まる場合があります。

チクソ性のある材料は、力を加えている間と静置時で流動性が変化します。そのため、カタログ上の粘度だけでは適否を判断できないことがあります。実際の材料を使い、充填圧力、速度、温度、待機時間を変えながら状態を確認することが必要です。

シリンジ充填機の選び方

装置仕様を比較するときは、最大処理量や充填速度だけでなく、自社で使用する材料、シリンジ、洗浄方法、生産数を基準にします。

材料粘度と供給方式を確認する

シリンジ充填機には、圧送、ピストン、真空利用、テーブル昇降など、さまざまな供給方式があります。高粘度材料やチクソ性の高い材料では、十分な充填荷重が得られるか、材料の通過経路で圧力損失が大きくならないかを確認します。

また、材料経路が長いほど、配管やバルブ内に材料が残りやすくなります。硬化性材料や高価な材料を扱う場合は、接液部の容量、デッドスペース、残量の回収性も重要です。材料容器から直接充填できる構造は、移し替えの削減に役立ちます。

対応するシリンジ容量と形状を確認する

シリンジには、3mL程度の小容量品から数十mL、大型バレルまで複数のサイズがあります。装置が必要な容量へ対応しているかだけでなく、使用中のシリンジメーカー、先端形状、フランジ形状に合うアダプターがあるかを確認します。

特殊形状のシリンジを使用する場合や複数サイズを切り替える場合は、治具交換の方法と段取り時間も比較します。一度に複数本を充填できる装置は作業効率を高められますが、各シリンジの充填量が均一になるかも評価する必要があります。

手動式・卓上式・自動式を比較する

手動式は構造が比較的シンプルで、少量生産や試作、品種変更の多い現場に適しています。電源を使用せずに操作できる機種もあります。ただし、操作速度や停止位置を作業者に依存する場合があるため、作業標準の整備が必要です。

卓上式は設置スペースを抑えながら、充填作業の負担軽減を図りたい場合に向いています。自動式は、条件の登録、充填量の管理、連続処理などに対応しやすくなります。生産数だけでなく、記録管理や将来の自動化計画も含めて選びます。

充填精度と生産能力を確認する

必要な充填精度は、シリンジ一本当たりの重量だけで決めるものではありません。吐出工程で必要な残量、材料コスト、シリンジ内の空隙、後工程の使用量を考慮し、許容範囲を設定します。過充填は材料ロスや液漏れにつながります。

生産能力は、一回の充填時間だけでなく、容器の交換、シリンジの着脱、条件変更、清掃まで含めて評価します。カタログ上の処理速度が速くても、段取りに時間がかかれば実際の生産性は上がりません。一時間当たりの完成本数で比較すると判断しやすくなります。

洗浄性と材料ロスを確認する

接液部に複雑なバルブや長い配管があると、洗浄に時間がかかり、内部へ材料が残る可能性があります。二液硬化型材料や短時間で硬化する材料では、作業終了後に速やかに分解・洗浄できる構造かを確認します。

多品種を扱う現場では、前の材料が残ることによるコンタミネーションにも注意します。使い捨て部品の利用可否、工具なしで分解できる範囲、接液材質、洗浄溶剤への耐性を確認し、消耗品費と洗浄工数を含めて運用コストを比較します。

シリンジ遠心脱泡機の選び方

遠心脱泡機では、シリンジを安全かつ安定して保持できることが前提です。材料だけでなく、シリンジを含む総重量や重心、左右のバランスを確認します。

回転数・遠心力・処理時間を材料に合わせる

遠心脱泡の効果は、回転数だけでなく、回転半径、処理時間、材料粘度、シリンジ形状によって変化します。回転数が高ければ必ず短時間で気泡が抜けるとは限らず、材料によっては成分分離やフィラー沈降が進む可能性があります。

最初から強い条件を設定せず、複数の条件で気泡数、材料温度、分離、吐出状態を比較します。処理直後だけでなく、一定時間静置した後の状態も確認すると、遠心処理によって一時的に均一に見えているだけかどうかを判断できます。

シリンジの保持方法とバランスを確認する

遠心処理では、シリンジを専用アダプターへ確実に固定する必要があります。サイズや形状が合わない状態で運転すると、振動、シリンジの変形、液漏れなどの原因になります。キャップやプランジャーを含めた装着方法を確認します。

複数本を同時処理する場合は、対向位置の重量バランスも重要です。充填量に差があるシリンジを組み合わせると、回転時の振動が大きくなる可能性があります。装置メーカーが定める許容重量差や装着条件を守り、日常点検の項目に含めます。

温度上昇と材料分離のリスクを確認する

高速回転や長時間処理によって、材料温度が上昇することがあります。温度上昇は粘度を下げて脱泡を促す場合がある一方、硬化反応の進行、ポットライフの短縮、粘度変化などを引き起こす可能性があります。

フィラーを含む材料では、遠心力によって比重の大きい成分が先端側へ偏ることも考えられます。処理前後で外観、密度、粘度、成分分布、吐出物性を比較し、脱泡だけでなく材料の均一性が維持されているか確認します。

撹拌・脱泡・充填工程を設計するポイント

安定したシリンジ充填を実現するには、個々の装置性能ではなく、材料調製から吐出までの一連の流れを設計します。

材料調製から充填までの流れを短くする

一般的な工程では、原料計量、撹拌、脱泡、充填、必要に応じた充填後脱泡、保管という順序になります。各工程の間に待機時間や移し替えがあると、再混入、沈降、硬化進行などが起こりやすくなります。

撹拌・脱泡に使用した容器をそのまま充填機へセットできれば、移し替えの手間と接液箇所を減らせます。設備を別々に選ぶ場合も、容器やアダプターの互換性、作業者の動線、材料の可使時間を確認し、工程全体をつなげて考えます。

充填後の品質を吐出試験で確認する

充填直後のシリンジを目視して気泡がなければ、品質が保証されるとは限りません。微細な気泡、シリンジ先端付近の空隙、材料分離は、実際に吐出したときに初めて問題になることがあります。

評価では、シリンジ重量、吐出重量の繰り返し精度、吐出切れ、液だれ、圧力変化、残量を確認します。一定量を連続吐出し、初期、中間、終盤で結果を比較すると、内部の気泡や充填密度の偏りを検出しやすくなります。

導入前のテストで確認したい項目

装置の適否は、仕様表だけでは判断できません。実材料、実シリンジ、予定している処理量を使用したテストを行い、品質と作業性の両方を確認します。

材料・容器・評価基準を事前に共有する

メーカーへテストを依頼する際は、材料の粘度、比重、チクソ性、硬化性、含有フィラー、使用可能時間を共有します。取り扱い上の注意や洗浄方法、安全データも必要です。実際に使用するシリンジとキャップ類も用意します。

評価基準として、許容気泡数、充填重量、重量ばらつき、処理時間、材料残量、洗浄時間などを決めます。「気泡が減った」という定性的な判断だけでなく、導入前後の数値を比較できるようにすると、設備投資の効果を判断しやすくなります。

量産時の再現性と保守体制を確認する

試作で一度成功しても、連続運転で同じ状態を維持できるとは限りません。材料温度の上昇、容器残量の変化、設備停止後の再開、作業者の交代など、量産で起こる条件を想定してテストします。

導入後の点検、校正、消耗品交換、修理対応も確認します。遠心機構を持つ設備では、安全装置、定期点検、回転部品の管理が重要です。設備価格だけでなく、治具、アダプター、消耗品、保守費用を含む総コストで比較します。

まとめ

シリンジ充填機は、材料をシリンジへ安定して移し替え、充填量や作業品質のばらつきを抑えるための設備です。シリンジ遠心脱泡機は、充填後のシリンジを回転させ、内部に残った気泡の低減や材料状態の調整を行う設備です。

装置選定では、材料粘度、チクソ性、シリンジ容量、必要精度、生産数、洗浄性、材料ロスを確認します。さらに、撹拌・脱泡・充填・吐出を一つの工程として捉え、実材料によるテストで気泡、充填重量、吐出安定性、材料分離を評価することが重要です。

当メディアについて

撹拌脱泡機を使用する製造現場や研究・開発の現場では、「量産が難しい」「処理に時間がかかる」「高粘度素材がうまく混ざらない」など、さまざまな課題が生じていることと思います。
当メディアでは、そうした課題解決に貢献する三星工業の「ハイ・ローターシリーズ」の特長と価値を、より多くの方に知っていただくことを目的としています。研究・開発現場の効率化とさらなる技術発展に寄与できれば幸いです。