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エポキシ樹脂の撹拌で気泡を防ぐコツ

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エポキシ樹脂撹拌における「気泡」と「硬化不良」の本質的な課題

電子部品の封止、ポッティング、接着工程において、エポキシ樹脂は極めて高い信頼性を誇る素材です。しかし、その性能を最大限に引き出すためには、「主剤と硬化剤の高精度な均一混合」と「微細気泡(ボイド)の徹底的な除去」という2つの高いハードルを越えなければなりません。

特に近年の電子デバイスの小型化・高密度化に伴い、わずか数ミクロンの気泡が絶縁破壊やヒートサイクル時のクラック起点となるリスクが高まっています。本記事では、エポキシ樹脂特有の物理的性質に基づいた撹拌の最適化について深く考察します。

なぜエポキシ樹脂には気泡が発生し、抜けにくいのか?

エポキシ樹脂の撹拌で空気が混入し、それが残留するプロセスには明確なメカニズムが存在します。

1. 高粘度流体における随伴流と負圧の発生

エポキシ樹脂の多くは高粘度であり、撹拌羽根(プロペラ等)を高速回転させると、羽根の背後に瞬間的な低圧部が生じます。ここに周囲の空気が吸い込まれる「キャビテーション」に近い現象や、液面の巻き込みが発生します。一度取り込まれた空気は、樹脂の粘性抵抗によって浮力が相殺され、液中に留まり続けます。

2. 主剤と硬化剤の粘度差による「界面抵抗」

多くのエポキシ系材料では、主剤(高粘度)と硬化剤(低粘度)で粘度が大きく異なります。このため、単純な撹拌では低粘度な硬化剤が高粘度な主剤の周囲を滑ってしまい、界面での分子拡散が阻害されます。この未反応領域が「混ざりムラ」となり、後の硬化不良や物性低下を招く原因となります。

3. チキソ性と気泡のトラップ

フィラー(充填剤)が配合された樹脂の場合、静止時に粘度が高まるチキソ性(触変性)を持つことがあります。撹拌を止めた瞬間に液体の構造粘性が回復し、浮上途中の微細な気泡が「型崩れしないゲル」の中に閉じ込められるようにトラップされてしまうのです。

硬化不良を防ぐための「せん断力」と「対流」のコントロール

気泡を極限まで抑えて混ぜるためには、単なる「かき混ぜ」ではなく、流体力学的なアプローチが必要です。

レイノルズ数を意識した層流撹拌

高粘度流体において乱流を起こそうとすると、過剰なエネルギーが熱に変換され、樹脂のポットライフ(可使時間)を縮めてしまいます。低速でも強力な「せん断(せんだん)力」を加えられる設計が重要です。材料を「引き延ばしては重ねる」というラミナー混合を繰り返すことで、気泡を抱き込むことなく、主剤と硬化剤の分子を接触させることが可能になります。

「公転・自転方式」による脱泡撹拌

手作業や羽根式撹拌の限界を打破する技術として、現在、電子部品業界で主流となっているのが「公転・自転方式(非接触撹拌)」です。

公転による遠心脱泡の原理

容器全体を高速公転させることで、強力な遠心力が生じます。この力により、液中の気泡は比重差によって液面へと押し出されます。真空引きを併用することで、液面に浮上した気泡を効率的に破泡・除去できるため、極めて高度なボイドレス化が実現します。

自転による均一分散のパラメータ設定

公転と同時に容器自体を自転させることで、強力な渦状の対流を発生させます。

  • 自転比率の調整:主剤と硬化剤の粘度差が大きい場合は、自転速度を高めてせん断力を強めます。
  • 温度管理の重要性:撹拌熱による樹脂の反応進行を防ぐため、冷却機能付きの装置や、短時間で効率よく混合できるパラメータ選定が重要です。
  • 多段プログラムの活用:「低速でなじませる」→「高速で均一化と脱泡」→「低速で液面を整える」というステップを踏むことで、理想的な仕上がりに近づきます。

トラブルシューティング:それでも気泡が残る場合

もし最適な装置を使用しても気泡が残る場合は、以下のチェックポイントを確認してください。

  • 容器の壁面の「かき取り」:容器の隅に未混合の樹脂が残っていないか。
  • 投入順序の再検討:高粘度液を先に入れるか、低粘度液を先にするかで、初期の混ざりやすさが変わります。
  • 真空到達度の確認:ポンプの性能やパッキンの劣化により、十分な減圧ができていないケースがあります。

まとめ:品質向上の鍵は「科学的な撹拌」にある

エポキシ樹脂の撹拌は、経験や勘に頼る手法から、回転数、時間、真空度といった「数値管理」へと移行しています。気泡を極限まで抑え、硬化不良を徹底して防ぐことは、単なる不良率低減だけでなく、製品の長期的な信頼性(ブランド価値)を守ることに直結します。

貴社の材料特性に合わせた最適な撹拌パラメータの算出や、デモ機による検証をご希望の場合は、専門の技術スタッフまでお気軽にお問い合わせください。

当メディアについて

撹拌脱泡機を使用する製造現場や研究・開発の現場では、「量産が難しい」「処理に時間がかかる」「高粘度素材がうまく混ざらない」など、さまざまな課題が生じていることと思います。
当メディアでは、そうした課題解決に貢献する三星工業の「ハイ・ローターシリーズ」の特長と価値を、より多くの方に知っていただくことを目的としています。研究・開発現場の効率化とさらなる技術発展に寄与できれば幸いです。